月別アーカイブ: 2016年10月

生活必需品としてのほうきを作りたい

「第35回 茗溪学園美術展」無事終了しました。
ご来館いただいた皆さま、関係者の皆さまには深く御礼申し上げます。

以下、ギャラリートークで話すフクシマです。

ギャラリートーク1
ギャラリートーク2

ほうきの魅力、魅力。
色々実感していても言葉で伝えるというのはなかなか難しいものでした。
まだまだ修行が足りません。

でも、展示を通して、お客さんや他の作家さんたちとのおしゃべりを通して、
これからどんなふうにほうきを作っていきたいのか、整理するきっかけを得ることができた。

やっぱり、生活必需品としてのほうきを作りたい。

そこに行きつくためにはたくさんの課題がありますが、
(草の収量、技術、手の速さ、お金、暮らし…、挙げ出したらキリがない)
一つ一つ楽しみながら、乗り越えていきます。

ほうき畑からダイコン畑へ

冬の畑は冬野菜。ダイコンを植えました。

ダイコン畑

ホウキモロコシは畑の地味(土の生産力)の回復にも良いらしく、
ホウキモロコシの後にダイコンなんかを植えると良いものができるらしいのです。
(ふじみ野市立大井郷土資料館 編『ほうきの文化―ふじみ野編―』で読みました。)

ほうき仕立てのダイコンさん、どんな味になるでしょうね。

ジャガイモとダイコンの芽

ダイコンの隣には、何食わぬ顔でジャガイモも生えていたり。(春先に取り逃がしたやつです。)
冬の畑も賑やかです。

茗溪学園美術展搬入終了!

茗溪展ほうき

「第35回 茗溪学園美術展」、無事搬入が終わりました。
6メートルの壁面に並んだほうきたち。

3つ玉行程解説パネル

栽培や道具についての解説パネルに、制作工程の実物など。
ほうきのこと、いろんな角度から伝えられれば、嬉しいです。

今回は、中学高校生たちの力の入った作品がずらりと並んでいる中での展示ということで、
なんだか懐かしい、じ~んとした気分になると同時に、背筋が伸びる思いでした。

最終日の30日(日)10:30からは、特別企画出品者によるギャラリートーク。
気合い入れて面白いネタを考えておかねば。

キング・オブ・ほうきのその後

超巨大ほうきのキング君、やっと仕上げまで終えました。

キング完成

編み上げに約9時間、元綴じに約4時間、飾り糸に約4時間、
合計17時間の大作です。

元綴じのときには右手いっぱい豆だらけになって、正直心が折れそうになった。
こんなのを軽々作ってしまう師匠はやっぱりすごいです。

実物は、明後日から始まる茗溪学園美術展にて初お披露目です!

常陸太田のほうき

秋晴れ!
旅をするのにもってこい、ということで。

常陸太田のほうきに逢うために、『常陸太田手仕事展』のほうき作りワークショップに参加してきました。

常陸の車窓から

同じ茨城県内のほうきということで前々から見に行きたいなぁとは思っていたのですが、
なかなか距離が遠くて今の今まで引っ張っておりました。

2両編成のワンマン列車、「ポッ」っと鳴くかわいい列車に揺られ、のんびり2時間で常陸太田駅へ。

会場のある鯨が丘商店街では、ちょうどKENPOKU ARTも同時開催。
街に並んだ作品も楽しみながら、商店街をてくてく行くことができた。(「鯨が丘のピンクの窓」が凄くよかった)

常陸太田ワークショップ会場

さて、今回ほうきワークショップを開催されたのは、常陸太田とその周辺にお住いの元気で明るい女性グループ。
在来作物を引き継ぐ活動をしている「種継人の会」の方々で、常陸太田は「河合のほうき」の職人さんからほうき作りを学んでいます。

もちろん、ほうき作りは栽培から。
常陸太田で昔から作られていた作物としてこれからも残していきたい、ということで、ほうき作りが始まったのだそうです。

「河合のほうき」の職人さんは、実は数年前から体調を崩されたそうで、
現在は奥さんがその技術を受け継いで、皆さんに教えているそうです。
今日は奥さん、片手ほうき(この地域では「半手(はんで)」という)を実演制作されていました。

「河合のほうき」、同じ県内のほうきでも、つくばのほうきとは作り方も形も結構違います。
どちらかというと、先日ご紹介した埼玉の「上福岡のほうき」に似ている気がします。

しっかりと、むっちりとした、昔ながらの座敷ぼうきの感じです。

—–

河合のほうき畑

そして、なんと、急なリクエストにも関わらず、奥さんの畑も見せていただいてしまいました。
これは刈り取り後に育てた2番ぼうきなのですが、さすが立派。

株間は10cmぐらいで、つくばのものよりかなり広い。
そのおかげか、太くしっかりした茎で、2番ぼうきなのに倒れずまっすぐ立っている。
土も、つくばの石灰土壌と違って、田んぼのようにギュッと締まっています。

ここまで見てしまうと、種まきや収穫の様子も見学したい気持ちが湧いてくるものです。
続きは来年。

色々教えてもらって、案内までしていただき、最後にはオススメのお土産屋さんまで教えていただきました。
常陸太田の皆さんありがとうございました。

常陸太田のワークショップほうき

ちなみにワークショップで作ったほうきは、3つ玉のこんなほうきです~。

二番ぼうき収穫

二番ぼうき

天気が不安定で採れずにいた二番ぼうき。
しびれを切らして収穫しました。

本当は次の日から雨なのですが、早朝早起きして強行です。

二番ぼうき
二番ぼうき乾燥

2か月前に見た光景がもう一度。

収量は、一番ぼうきの3分の1くらいでしょうか。
相変わらず芯立ちの草は多かったです。

穂の硬さは、収穫が遅れてしまったためか、ちょっと硬めに。
(外掃き用のほうきにでもしてみようかしら)

—–

色々ありましたが、これで2016年のほうき畑をやっと終えられました。
反省点は多々ありますが、まずは一定量の草が採れたことを喜びたいと思います。

にしても、草のなくなった畑は寂しいものですね。

収穫後の畑

柿渋染めと染色の機能性

梅雨のような雨続きのこの頃、たまの晴れ間はものづくりにおいても有難い。

ほうきに使う糸を柿渋で染めています。

柿渋染め

柿渋、非常に独特のにおいの液体ですが、
染めたものに防水・防腐機能を追加してくれる自然の恵み。
鉄媒染にすると、さらに強靭さが追加されるといいます。

昔は野良着の染めや漁具の網を強くするのなんかに使われていたそうな。
(『柿渋(ものと人間の文化史)』で読みました。)

ブルーの綺麗な藍染も、もとは野良着に虫よけ機能を追加するものだったらしい。
(同じく『野良着(ものと人間の文化史)』で読みました。)
草木染めの元祖?の薬草染めは、万が一ケガをしたとき薬草で染めた野良着で縛って、傷口を保護するためだったとか。
(記憶の彼方、どこかのウェブサイトで読みました。)

染色というと、布や糸に綺麗な色や模様を付けるものという印象ですが、
繊維に機能性を付与する側面があることの方が、私としては興味深かったりします。

柿渋染めを干す

今染めている糸は、3回染めて鉄媒染。
11月に向けて準備中の作品とワークショップで使う予定です。

トウガラシ

晴れ間が出たので、ついでにトウガラシも干しました。