日別アーカイブ: 2021/06/09

畑との向き合い方

2021年の栽培が始まりました!

本格的に栽培を始めて早5年。
農業というにはあまりに小規模ですが、畑のあれこれを自分なりに勉強して、なんとかやってきました。

ホウキモロコシの栽培は農家の副業で戦後に衰退した経緯もあって、栽培法が体系化されておらず、なにもかもが手探りです。
世の中には「○○農法」と呼ばれる様々な農法が確立されておりますが、何を取り入れたらホウキモロコシにとって良い結果が出るのか確証もなく。今もなかなか思う通りの結果を得られていません。特に昨年は梅雨の長雨の影響で、不作となりました。お米や野菜と同じように、天候の変化にも注意を払わなければなりません。

そんなこともあって、今年は作業記録をしっかり取って、色々試す実験エリアも設け、施しと結果の因果関係をきちんと調べることにしました。

とにかく良い草を作る!というのが明確な到達点ですが、そこに至るまでにどういう道をたどればいいのか、たどりたいのか。
ほうき作りは畑も含めたものづくり。5年目にしてこうありたいというのが見えてきたので、現在の畑に対する姿勢について、書いてみたいと思います。

【必ず目指すこと】
良い草を作る…草の質がほうきの質を左右します。草8割、選別2割、制作2割くらいなんじゃないかと思っています。良い草を作る、これは絶対外せません。
低コストな農作業…手間ひまかければいい結果が得られるとは限らないと、続けてきて分かりました。余計な手間をかければコストは増えるし、作物に悪影響がある場合もあるでしょう。例えば雑草対策の中耕ですが、作物の根を傷つけるリスクもあります。作物との距離や深さ、タイミング、頻度に気を払い、場合によっては三角ホーによる手作業に切り替えます。
かけるべき手間とは何かをきちんと把握し、要らない手間ひまは排除していきましょう。

【可能な限り目指したいこと】
鉱物資源を使わない…肥料って色々あるということを知りました。一般的には有機肥料、化学肥料、なんて大きく分けられますが、私の中では、3つに分類できると考えています。
化学肥料=ハーバーボッシュ法に代表されるようなエネルギー資源使って化学的に生み出した肥料。
鉱物肥料=過リン酸石灰のような、鉱物資源を使って作られた肥料。
生物由来肥料=家畜糞とか、魚粉とか、カキガラ石灰とか、生物にまつわるものが原料となっている肥料。緑肥もここに入る。
どの肥料を選んでも、植物に必要な栄養素が適量土にあれば育つわけで、それなら、なるべく再生産可能な生物由来の肥料を使っていきたいと考えます。ほうきを作っているのですから、なるべくゴミを原料にしたいというのが根底にあります。化学肥料や鉱物肥料のような限りある資源のものは、もっと大事な食べ物の生産に使われるのが良いと思うので。
緑肥や刈り草堆肥、生ごみ堆肥も活用して、ゴミから作られる(=再生産される)ものづくりを目指しましょう。
(※エコとか環境への配慮、ということではなく、ゴミから作られた道具の方が、世の中の隅っこを埋める”愉快なほうき“になり得るような気がするからです。)

天敵生物の活用…農薬否定派ではないんですが、化学的な農薬はきちんと勉強しないと扱いが難しいと思っているので、当初から使っていません。ですが、増えすぎたアブラムシに対しては、「粘着くん」という、物理的に殺戮するタイプの殺虫剤(原料はデンプン)を活用しています。
でも、一番いいのは、アブラムシがいて、テントウムシがいて、畑に色々な生物がいることで、病害に発展しない程度にそれぞれ数が抑えられること。畑という人為的で自然じゃない環境を作っている以上、施肥や防虫対策は必須となってしまう訳ですが、天敵生物がある程度維持されるような畑作りをして、いずれ「粘着くん」も使わなくていいような環境にしていきたいと思います。
具体的には、部分耕で植え畝以外の場所に天敵生物の住処を維持すること。カラスノエンドウやレンゲのようなマメ科の緑肥も近いうちに活用してみたいです。

あれこれやりたいことがあっても、すぐにできないのが畑。あぁ、緑肥使ってみたかったけど、播種期が過ぎていた…。なんてことばかりで、なかなかスピーディには進みません。
しかし、本格的に栽培を始めて5年、あと60年は続けられると思うので、ゆっくり理想に向かって進んでいきたいと思います。あぁ、楽しいなぁ。