」カテゴリーアーカイブ

収穫、終わりました!

2022年栽培の、ほうきの収穫が終わりました!

妊娠期間中の畑はとにかく体力・気力勝負で、帰ってきたら毎度ぐったり。なかなかブログの方で栽培経過をご報告できずでした。
土日は夫の手も借りながら、何とか栽培した分は採り終わり、ほっと胸をなでおろしています。

今期は暑さとの戦いではありましたが、台風の被害がなかったのが救いでした。
芯立ちのない穂が多くでき、こんな年に限って出来が良い…。
ただ、水不足ののち、出穂時期の梅雨戻りの影響で、曲がりも多かった。
曲がりに強いシャキッとした株を育てるのが、今後の課題です。


【最高の装備】

満を持して、空調服を導入しました。
前々から欲しかったものの、現場のおじさまの特権、というイメージがあって、なかなか手を出せずにいたのですが、これがとにかく良かった!

軽いので作業中の煩わしさはそれほどなく、外気が服の中に取り込まれるだけなので冷えすぎて体調を崩すということもない。暑さに持っていかれる体力が軽減されるような感じで、作業後の疲れが段違いでした。

空調服屋さんの回し者ではありませんが、一度熱中症になると回復まで何日も苦しむことになるので、現場仕事以外の方にもオススメしたいと思います。

なお、あまりに快適なので、私は日中洗濯物を干すときにも使ったりしています(笑)


【テントウムシ作戦のその後】

普段は収穫中に成虫が飛来する程度にしか見られなかったテントウムシですが、今年は栽培期間中からたまに見かけ、収穫時期には幼虫まで見ることができました。

アブラムシのコロニーを食べつくした幼虫くん。頼もしい。

毎年やっていた『粘着くん』によるアブラムシ防除を今年はやらなかったのですが、アブラムシによる被害はほとんど出ず。もちろん天候による違いもあるでしょうが、テントウムシリッチな環境を作り出すという点では、成功したように思います。

ただし、春から雑草を残しつつ栽培に取り組むのは、労力の点で大変だった部分もあり、その辺をどう両立していくかが課題でもあります(機械で全面耕し除草する方が楽なんですよね)。


色々と思い残すこともありながら、残すところは、周りの草刈りと採種のみとなりました。
お盆明けからは産休期間。ほうきのことから離れるのは少し寂しくもありますが、作りたい気持ちを大事に蓄えて、また皆さまの元にほうきをお届けできるようになることを、楽しみにしたいと思います。

2022年の栽培が始まりました!

待ちに待った、2022年のほうき栽培が始まりました。

先週種まきを終え、最初にまいた畝はもう発芽。
ほうきの成長は早いこと早いこと。

今年のテーマは、コスト削減・省力化です。

例年まいていた牛ふんとカキガラ石灰を辞めてみて、
春の土づくりには、モミガラくんたんと、満を持して登場「ケイカル」を投入!

この「ケイカル」という資材は、2021/06/09の投稿でいうところの鉱物肥料であるのですが、製鉄業の副産物として排出される代物。
稲作にとって重要な「ケイ酸」肥料であり、イネ科であるホウキモロコシにも良い効果があるに違いないと睨んで、今回取り入れてみることにしました。
(ケイ酸の効果については、高橋英一先生の『作物にとってケイ酸とは何か―環境適応力を高める「有用元素」』がとっても分かりやすく面白く書かれています!)

副産物なので激安というのがなにより嬉しいところ。
(肥料不足が心配される昨今ですので、せめて食料でないホウキモロコシは、有用な肥料に頼らず副産物のみで育てていける方法を模索していきたいものです。)

そして省力化については、畝間除草と防除を深追いしすぎない、という方針に切り替えることに。

冬~春にやっていた全面耕起を止めて、畝間となる場所に適度に雑草を残し、春のうちからテントウムシリッチな環境を作り出そうという作戦です。
雑草たちは、ほうきの成長を阻害しない高さに管理するのみ。刈り草が肥料分にも貢献してくれると信じて、抜きたい気持ちを押さえて共生してもらいます。

果たしてこんなことをして上手くいくのか、と思われるかもしれませんが、昨年こぼれ種で雑草地帯に生えたホウキモロコシが、なかなかたわわに良い穂をつけていた、ということがありました。
そうなると、適度に雑草が生えた環境でもほうきは育つのでは、という仮説を検証せずにはいられません。
多少収量が減ったとしても、その分省力化の割合が上回ればしめたもの。
除草だって防除だって、やらずに済めばそれに越したことはないのです。

秋に出産を控えているため、今年の作付は3分の2に減らしました。
良い気候に恵まれることを祈って、この夏を駆け抜けたいと思います。

一番穂の収穫

一番穂、夏の収穫が終わりました!

まだ選別をやっていないので何とも言えませんが、採れ高はほぼ平年並み。
質も悪くなく、去年の不作は挽回できたかな、というところです。

曲がった草も多かったですが、それはそれで、曲がった草でしか作れないようなほうきに仕上げてみたいと思っています。
秋からの制作が楽しみです。


【おまけ】春~夏に出会った虫たち

三日月模様のナミテントウ。ナミテントウはこの子以外にもいろんな模様の子たちがいました。
目指せ、模様全種類コンプリート!
玉虫色のタマムシ。玉虫厨子のあれですね。初めて見ました。
電気虫の異名を持つイラガの幼虫。お約束の通り、刺されました。痛かったけど造形が美しいので許せた。
今年は頻繁に出没したカブトムシたち。どうやら同じやつではなさそうだ。

畑との向き合い方

2021年の栽培が始まりました!

本格的に栽培を始めて早5年。
農業というにはあまりに小規模ですが、畑のあれこれを自分なりに勉強して、なんとかやってきました。

ホウキモロコシの栽培は農家の副業で戦後に衰退した経緯もあって、栽培法が体系化されておらず、なにもかもが手探りです。
世の中には「○○農法」と呼ばれる様々な農法が確立されておりますが、何を取り入れたらホウキモロコシにとって良い結果が出るのか確証もなく。今もなかなか思う通りの結果を得られていません。特に昨年は梅雨の長雨の影響で、不作となりました。お米や野菜と同じように、天候の変化にも注意を払わなければなりません。

そんなこともあって、今年は作業記録をしっかり取って、色々試す実験エリアも設け、施しと結果の因果関係をきちんと調べることにしました。

とにかく良い草を作る!というのが明確な到達点ですが、そこに至るまでにどういう道をたどればいいのか、たどりたいのか。
ほうき作りは畑も含めたものづくり。5年目にしてこうありたいというのが見えてきたので、現在の畑に対する姿勢について、書いてみたいと思います。

【必ず目指すこと】
良い草を作る…草の質がほうきの質を左右します。草8割、選別2割、制作2割くらいなんじゃないかと思っています。良い草を作る、これは絶対外せません。
低コストな農作業…手間ひまかければいい結果が得られるとは限らないと、続けてきて分かりました。余計な手間をかければコストは増えるし、作物に悪影響がある場合もあるでしょう。例えば雑草対策の中耕ですが、作物の根を傷つけるリスクもあります。作物との距離や深さ、タイミング、頻度に気を払い、場合によっては三角ホーによる手作業に切り替えます。
かけるべき手間とは何かをきちんと把握し、要らない手間ひまは排除していきましょう。

【可能な限り目指したいこと】
鉱物資源を使わない…肥料って色々あるということを知りました。一般的には有機肥料、化学肥料、なんて大きく分けられますが、私の中では、3つに分類できると考えています。
化学肥料=ハーバーボッシュ法に代表されるようなエネルギー資源使って化学的に生み出した肥料。
鉱物肥料=過リン酸石灰のような、鉱物資源を使って作られた肥料。
生物由来肥料=家畜糞とか、魚粉とか、カキガラ石灰とか、生物にまつわるものが原料となっている肥料。緑肥もここに入る。
どの肥料を選んでも、植物に必要な栄養素が適量土にあれば育つわけで、それなら、なるべく再生産可能な生物由来の肥料を使っていきたいと考えます。ほうきを作っているのですから、なるべくゴミを原料にしたいというのが根底にあります。化学肥料や鉱物肥料のような限りある資源のものは、もっと大事な食べ物の生産に使われるのが良いと思うので。
緑肥や刈り草堆肥、生ごみ堆肥も活用して、ゴミから作られる(=再生産される)ものづくりを目指しましょう。
(※エコとか環境への配慮、ということではなく、ゴミから作られた道具の方が、世の中の隅っこを埋める”愉快なほうき“になり得るような気がするからです。)

天敵生物の活用…農薬否定派ではないんですが、化学的な農薬はきちんと勉強しないと扱いが難しいと思っているので、当初から使っていません。ですが、増えすぎたアブラムシに対しては、「粘着くん」という、物理的に殺戮するタイプの殺虫剤(原料はデンプン)を活用しています。
でも、一番いいのは、アブラムシがいて、テントウムシがいて、畑に色々な生物がいることで、病害に発展しない程度にそれぞれ数が抑えられること。畑という人為的で自然じゃない環境を作っている以上、施肥や防虫対策は必須となってしまう訳ですが、天敵生物がある程度維持されるような畑作りをして、いずれ「粘着くん」も使わなくていいような環境にしていきたいと思います。
具体的には、部分耕で植え畝以外の場所に天敵生物の住処を維持すること。カラスノエンドウやレンゲのようなマメ科の緑肥も近いうちに活用してみたいです。

あれこれやりたいことがあっても、すぐにできないのが畑。あぁ、緑肥使ってみたかったけど、播種期が過ぎていた…。なんてことばかりで、なかなかスピーディには進みません。
しかし、本格的に栽培を始めて5年、あと60年は続けられると思うので、ゆっくり理想に向かって進んでいきたいと思います。あぁ、楽しいなぁ。

夏の収穫が終わりました

梅雨の長さに苦しみましたが、ひとまず夏の収穫作業が終わりました!

梅雨が一向に明けないときは、収穫したくてもできなくて焦りました。
雨が多くて養分が流されて、日照時間も少なく、根元からは腐ってきて…。
あの畑の嫌われ者メヒシバが赤く枯れてしまうような気候です。全滅にならずに済んだことにひたすら感謝感謝。

とはいっても、日当たりの悪いところの株はほぼ採れず。
例年より3分の2ほどの収量となりました。

だけど、採れた草の質は、とても柔らかくて良い!
曲がっていたりしてちょっと扱いにくいものもありますが、工夫して良いほうきに仕上げてやるぞと意気込んでいます。せっかく採れた草ですから、腕の見せどころである。

総評としては、
【草質】 ★★★★☆
柔らかくて揃っている草が多い。今年は特にしなやかなほうきになりそう。
【草の傾向】 ★★★☆☆
ブラシ向きの小さな草が多め。大きいほうきは数量限定になりそうです。
【収量】 ★★☆☆☆
一番穂は3分の2に減少。二番穂に期待。


最初に刈った場所からは、もう新芽が生えてきました。
いつもは秋に向けての制作でなかなかか手を入れられていませんでしたが、
今年は追肥もしっかりやって、しっかり育てていきたいと思います。

間引き、終了!

無事発芽をして、少雨や強風にも耐えて育ってくれているほうきたち。
本日、間引きが終わりました。

6月なのに、連日30℃超の日々。
いやぁきつかった。早起きが捗ります。

明日から草取りですが、しばらくは気温が低いようでよかったです。
それにしても、今年も雨が少ないですね…

種まきはじまりました

石灰撒いて、耕して、
硫安撒いて、耕して、
2020年の種まきが幕を開けました。

この時期は毎日のように、お天気アプリと睨めっこです。
雨の予報に一喜一憂。降って欲しいときになかなか降ってくれないのが雨。

雨が少なくても、頑張って出ておいで!芽!

今年もありがとうございました

早いものでもう年越し間近。
皆さま、今年一年は良い年だったでしょうか?

わたくし、昨日、一年を気持ちよく締めくくれる、良い買い物をしました。
それはこちらです。

8枚刃専用研ぎ機。
チップソーなどは研ぐことができない、文字通り8枚刃しか研げない、ニッチ過ぎる一品です(笑)

2018年7月号の『現代農業』をきっかけに、今年初めて刈払機に8枚刃を使って虜になったわたくし。
手で研ぐのは大変、フリーハンドでグラインダー使うのは恐い、ということから、
台座付きの研ぎ機を探し求めていたんです。

3軒ホムセンを回ってやっと見つけた。

公式ページにアクセスしてみると、平成27年で生産終了とのこと。
使い捨ての安いチップソーがあるから、今どき8枚刃を研いで使う人なんて少ないのでしょうね。

でも、この時代を感じさせる赤いボディがなんとも頼りがいがあると思いませんか!?
しかも使い方も簡単で、はじめにセットと調整させしてしまえば、あとはハンドルを下げるだけで、自動で回転して全ての刃を均等に研いでくれる。

研ぎたての8枚刃で草を刈る心地良さといったら。
夏が来るのが楽しみでなりません。


皆さま、今年一年誠にありがとうございました。
来年もどうぞ良い年をお迎えください。

一番穂収穫完了!

今年も生きたまま、夏の収穫を終えることができました。
冗談抜きで危険な暑さです。
が、危険と隣り合わせだからこそ、丸一日を収穫のためだけに捧げるつもりで、集中力を持って乗り越えることができました。

収穫の一日は、
 3:30 起床、着替え、食料準備
 4:30 収穫作業開始(刈取、調整、脱穀、湯通し)、途中適宜食料補給
 10:30 収穫作業終了
 11:00 干す作業
 11:30 汗を流して昼食、昼寝、適宜乾燥中の草を反す
 16:00 夕方の収穫作業
 18:30 収穫作業終了
 19:00 夕食
 21:00 就寝

夕方の収穫作業の様子

人並みの体力しかない私としては結構過酷(特に日中の足踏み脱穀と干す作業が!)。
ですので、早起き、疲れ切る前に終える、とにかく飲む食べる、昼寝、などなど、暑さに殺されないために各種徹底しました。

7/27 収穫直前の様子。見事に全部倒れた

収穫直前の台風で全面倒されたものの、収穫期間中はほぼ雨が降らなかったおかげで、思ったよりもスムーズに終えることができました。
心配だったアブラムシも、6月7月の奮闘で数を抑えることができたので、二番穂も期待できそうです。

今日は丸一日かけて残渣の刈り取り。
手を掛けた株が一気になくなるのは、すっきりするけどちょっと寂しいです。

アブラムシ研究

間引きを終え、中耕除草。今年も雨が少ない梅雨ですが、堆肥をしっかり入れたおかげで土が乾きにくく、順調にほうきたちは育っています。

しかし、暖冬の影響で、アブラムシの進行が早いです。体感で3週間くらい早いでしょうか。
もうこんなにびっしりコロニーを形成しています。

栽培を始めた当初から苦しめられてきたアブラムシ。1年目はほとんどの株を枯らされた。
憎き存在アブラムシ。でも、5年間ずっと見てきて、だいぶ彼らのことが分かってきました。

<繁殖のパターン>
よく言われていることですが、彼らアブラムシは単為生殖で増える。暖かい時期はメスだけで、自分のコピーをお腹の中に宿し、さらにお腹の中の子のお腹の中にも孫がいて、どんどん増えていきます。
高温になると繁殖力が低下するらしいです。そのため冷夏の夏は恐ろしいことに…。

<飛ぶアブラムシ>
普通の個体は翅を持っていないけど、コロニー内の数が増えたら翅を持つ個体が出て、他の住処を求めて旅立っていく。梅雨の少雨がアブラムシの拡大に影響するのは、翅有りのアブラムシが旅をしやすいからなのでしょう。
翅有りアブラムシは黄色が大好きなので、黄色バケツ防除法は有名ですね。

<アリとの共生関係>
これもよく言われていることですが、アブラムシとアリは共生関係にあって、アブラムシはアリに守ってもらい、アリはアブラムシの出す甘い排泄物をエサにしています。
アリが実際にどういうことをしているかというと、飛んできたアブラムシの周りに土でシェルターをこさえたり、株の根元に空間を作ってアブラムシが雨で流されないようにしたり、葉っぱから落っこちたアブラムシをアリが見事にキャッチして元の場所に運んだり(これらは実際に目撃しました)。これには流石に関心させられた。
アブラムシ対策には、アリの駆除もセットで考える必要があるわけです。

<居場所>
根っこと茎の間、下の方の葉っぱの裏、そして新芽の出てくる渦の中。ホウキモロコシの場合はこの3か所が主な居場所でした。アリが活発に群がっていると大抵そこにアブラムシがいるので、見つけるのはそれほど苦労はしません。

色々試した結果、物理的に抑えるのが一番という結論に。次の2つを希釈したスプレーがメインウェポンに落ち着きました。

①住友化学の粘着くん液剤
デンプンが主原料のソフト農薬です。うすーいデンプン糊みたいな液体で、アブラムシなどの小さな虫を窒息死させます。原理は牛乳スプレーと同じ。化学殺虫成分を含んでないので気兼ねなく使え、かつ、ちゃんと効果が検証されているのが良いところです。

②トウガラシの酢漬け
とある筋から廃棄する穀物酢を20リットルいただいたので、トウガラシを浸けて対アリ液に。スプレーするとアリがパニックになり逃げていくのが見られます。酢のにおいとトウガラシの刺激に忌避効果があるのでしょうか。

スプレーは、「水:①:②=100:1:1」くらいの比率。全面散布よりもスポット的に、十分スプレーした方が効果が得られたので、中耕除草のときに持ち歩いて、コロニーを見つけ次第シュッシュッと吹きかけています。

私的防除の心得は、手間とコストを最低限に、収穫に影響がないくらい増えなければOK! シューティングゲームのような気分でいると、見つけたときの喜びもあり、胃にも優しくて良いと思います。
(本当はキラキラテープ法、幸せの黄色いバケツ法も試してみたいのだけど、なにせ畑の面積が大きいから、コストがかかりすぎるので却下。)

今日の作業では、援軍(テントウムシ様)もちらほら見かけられたので、希望の光が見えた。
敵がいて味方がいて、畑は今日も賑やかで、寂しくなくて良いですね。